司法試験・予備試験の勉強では、「入門講義はいつまでに終えるか」「過去問をいつ始めるか」「短答対策にどこまで時間を割くか」など、迷いやすいことが多いと思います。
今回は、初学者から本番直前期まで、何をどの順番で進めるかを一度整理します。すでに勉強が進んでいる方は、自分が止まっている段階から読んでください。
1 最初の目標は「7法を一度見た状態」
初学者が最初に目指すのは、一科目を完璧にすることではありません。憲法・民法・刑法だけ深くやり、民訴・刑訴・会社法・行政法が完全な初見のまま、という状態は避けたいです。
入門講義や基本教材を使い、まず7法を一周します。理解が60%でも構いません。「この制度はこの科目のこの辺りにある」という地図を作ることが先です。
2 一周したら、過去問を早めに見る
過去問は、インプットが全部完成した人だけが解く教材ではありません。
最初は答案を書けなくても、問題文を読み、設問を確認し、使いそうな条文と論点を考えるだけで意味があります。試験で何が要求されるかを先に知ると、講義や基本書を読むときの見え方が変わります。
3 過去問で見つかった「穴」を戻って埋める
過去問を解くと、「知らなかった」「知っていたが出てこなかった」「条文を探せなかった」「事実を使えなかった」という穴が見つかります。
ここで初めてインプット教材へ戻ります。最初から全部を完璧に覚えようとするより、問題演習と往復した方が知識の使い道が分かります。
4 苦手科目・未着手分野を放置しない
受験勉強では、得意科目をやる方が気持ちは楽です。ただ、本番で苦手科目を避けることはできません。
「刑訴の公判が弱い」「民訴の複雑訴訟をやっていない」「会社法の手続問題が苦手」のように、科目より細かい単位で弱点を見つけ、順番に潰してください。
5 答案作成は、最初から完成答案だけを求めない
答案構成10~20分、短い部分起案、一科目だけ時間を計る、といった段階を作って構いません。
大切なのは、問題文から法的問題を拾い、条文・規範・事実をつないで結論まで持っていく経験を増やすことです。
6 短答は「直前だけ」にしない
論文学習が中心になっても、短答を完全に止めると戻すのに時間がかかります。少量でも定期的に触れ、条文・判例の基本知識を維持してください。
逆に短答直前期には、学習時間を短答へ大きく寄せる時期があっても構いません。常に全科目を同じ比率で勉強する必要はありません。
7 直前期は「増やす」より「絞る」
本番が近づくほど、新しい教材や予想論点が気になります。しかし直前期の役割は、教材を増やすことではなく、今持っている知識を本番で使える状態にすることです。
- 未着手分野がないか
- 時間切れになりやすい科目はないか
- 毎回落とす論点はないか
- 条文探索に時間がかかっていないか
- CBTの入力・見直しに問題がないか
8 迷ったら「今どこで止まっているか」を特定する
勉強法に迷ったとき、「何を買うか」より先に、現在地を確認してください。
7法が終わっていないのか、過去問経験が足りないのか、答案を書いていないのか、弱点の復習をしていないのか。ボトルネックが分かれば、次にやることはかなり絞れます。
9 段階別チェックリスト
自分がどこにいるか分からなくなったときは、次の順番で確認してみてください。
- 第1段階:7法を一度は最後まで見たか
- 第2段階:各科目で過去問を少なくとも数問見たか
- 第3段階:答案構成だけでなく、時間を計った起案も経験したか
- 第4段階:短答・論文それぞれの弱点が言語化できているか
- 第5段階:本番までに何を終わらせ、何を捨てるか決めているか
例えば、第2段階なのに「答案の表現をもっときれいにしたい」と悩んでいるなら、優先順位が少しずれているかもしれません。反対に、何年分も過去問を解いているのに同じ論点で毎回止まるなら、演習量ではなくインプットの補強が必要です。
10 学習計画は「予定表」より「修正可能性」が大事
司法試験・予備試験の勉強計画は、最初に立てた予定どおり進まないことが普通です。仕事、大学の授業、体調、模試の結果などで優先順位は変わります。
そのため、月単位では「民法を○ページ読む」より、「民法の過去問を3年分処理し、弱点を特定する」のように成果物で決める方が修正しやすいです。週末に進捗を見て、遅れているなら全部を後ろ倒しにするのではなく、重要度の低い教材を切ることも必要です。
長期計画は固定するものではなく、現在地を確認して何度も作り直すもの、と考えてください。


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