2026年10月更新(note版の更新内容に加え、2025年公開の刑事実務基礎の記事や、裁判所が現在公開している教材を踏まえてWordPress版を整理し直しました。)
第1 はじめに
本記事は、刑事実務基礎のおすすめ教材を2026年版として整理し直したものです。note版の更新内容に加え、2025年に公開した「刑事実務基礎の概要~学習の仕方とおすすめ教材まとめ」で整理した学習方針も反映しました。
刑事実務基礎は、事実認定、捜査、公判前整理手続、公判、刑事弁護などを、検察官・弁護士・裁判官それぞれの立場から理解する必要があります。ただし、予備試験では司法修習の起案のような複雑な証拠評価まで求められるわけではありません。まずは手続の流れと、各場面で誰が何をするのかを押さえるのが大事です。
2026年10月時点で先に結論
- インプットの第一候補:『刑事実務基礎の定石 第2版』。コンパクトに一通り確認しやすいです。
- 過去問解説まで一冊でまとめたい:『法律実務基礎科目ハンドブック2 刑事実務基礎 第6版』。
- アウトプット:まず予備試験の過去問を優先。刑事実務基礎は演習書を増やすより、過去問を繰り返した方が効率的です。
- 手続のイメージ:裁判所の刑事裁判教官室が公開する『プラクティス刑事裁判』や『新プロシーディングス刑事裁判』を活用。
- 副読本:『事例に学ぶ刑事弁護入門』は、弁護士が実際にどう考えて動くのかをイメージするのにかなり使いやすいです。
第2 刑事実務基礎の書籍の外観
刑事実務基礎は、民事実務基礎に比べると試験向けの市販教材が少ない科目です。もっとも、2026年時点では『刑事実務基礎の定石 第2版』と『法律実務基礎科目ハンドブック2 刑事実務基礎 第6版』があるので、インプット用の軸はかなり決めやすくなりました。
また、手続の理解については市販本だけでなく、裁判所の「刑事裁判教官室コーナー」が非常に有用です。『プラクティス刑事裁判』に加えて、2026年2月には『新プロシーディングス刑事裁判』も公開されています。刑事裁判の流れを具体的な事件記録と結び付けて確認できるので、予備試験の実務基礎だけでなく刑事訴訟法の理解にもつながります。
刑事裁判教官室コーナー(最高裁判所)
第3 書籍紹介
1 基本書・教科書
⑴ 事実認定
①『刑事事実認定入門〔第3版〕』判例タイムズ社 石井一正著 ★★
事実認定の勉強を始めた時にまずはこれ!という感じで紹介された本。値段の割にページ数が少ないので微妙ではあるが、コンパクトにまとまっている。実際の案件での処理の話は少ないので他で補う必要はあるが、市販の本でよくまとまっているものといえばこれ!という感じ。
②『実践的刑事事実認定と情況証拠(第4版)』立花書房 植村立郎著 ★
①で物足りなかったので書籍の名前と著者の名前で購入した本。内容的には①で十分ということがこれを読んでわかった。詳細に書いてあるので読んで損はないと思うが、現状の出題の感じからすればここまで事実認定を深堀する必要はないと思う。むしろ研修所の本を読んだ方がいいが…
※事実認定は正直『検察終局処分起案の手引』と『刑事事実認定ガイド』というタイトルの修習で使用する教材を使えればそれでOK。もっとも、この本は検察と刑事裁判の科目で使用するものであるが、市販されていないので入手困難。
⑵ 刑事手続き
①『プラクティス刑事裁判(平成30年版)』法曹会 司法研修所 ★
公判前整理手続きを説明する本。研修所でも使用している。淡白な記述で読みにくいが、まとまっているのでよければ読んでもいいと思う。
②『新プロシーディングス刑事裁判(令和8年2月)』司法研修所 ★★
2026年2月に公開された新しい教材です。具体的な事件記録を参照しながら第一審刑事裁判手続を学べる構成になっており、旧版よりも実際の手続のイメージを持ちやすいです。予備試験の実務基礎だけでなく、刑事訴訟法の公判手続を理解するための副読本としてもかなり使いやすいと思います。
※刑事手続きは実際に誰がどの場面でどのような行為をするか?を理解しておけばOK
※刑事訴訟法の教科書でも対応可能
2 体系書
とくになし。
3 演習書
とくになし。過去問が試験対策的には効率的でそれしかない。
4 判例集
※使用することはほとんどないが一応紹介。
『刑事事実認定重要判決50選(第3版)上』『同刑事事実認定重要判決50選(第3版)下』立花書房 植村立郎著 ★
一応、事実認定で迷ったらこれだが、、試験的にはかなりオーバースペック。正直ここまでは買って読む必要はない。図書館にあれば調べものの際に参照すればいい程度。
※判例集で出るような複雑な事案は現時点では出題がない。
5 そのほか
①『司法試験予備試験 法律実務基礎科目ハンドブック2 刑事実務基礎〔第6版〕』辰巳法律研究所 ★★★
※2026年版では第6版を前提にしています。
過去問解説と実務基礎の知識が一冊にまとまっているのが強みです。インプットだけなら『刑事実務基礎の定石 第2版』の方が読みやすいと思いますが、過去問の答案例まで一冊で確認したいならこちらが便利です。民事のハンドブックとそろえて使うのもありです。
②『刑事実務基礎の定石 第2版』弘文堂 山本悠揮著・伊藤塾監修 ★★★
※2026年版では第2版を前提にしています。
2024年の第2版改訂後に改めて使うようになりましたが、現在はむしろインプット用の第一候補です。刑事実務基礎で必要となる知識をコンパクトに一通り確認できるので、最初に全体像をつかむには使いやすいと思います。もっとも、過去問の答案例まで一冊でそろえたい場合には、辰巳のハンドブック第6版の方が便利です。
※以下は刑事弁護関係の書籍です。刑事は弁護側の視点・検察側の視点、裁判所の視点を理解する必要があるので、中立的な本よりも実務的実践的な本書らがよいと思う。
①『刑事弁護の基礎知識(第2版)』有斐閣 岡・神山著 ★★
刑事弁護の基礎的な考え方がコンパクトにまとまっている本です。事例を追うというより、まず刑事弁護の全体像や基本事項を教科書的に確認したい方に向いています。
②『事例に学ぶ刑事弁護入門(補訂版)』民事法研究会 宮村啓太著 ★★★
個人的にはこちらの方がおすすめです。裁判そのものだけでなく、事例を通じて弁護士がどのように考え、どのように動くのかまで具体的に説明されています。司法修習中に読んで「これは予備試験の実務基礎にも使える」と感じた本で、実務に入ってからも参照しています。
6 無料教材・動画など
①『検察終局処分起案の考え方』
検察官が公訴提起に至るまでに、証拠をどう整理して判断していくのかを理解するのに有用です。予備試験でここまでの起案能力が必要という意味ではありませんが、犯人性や証拠構造を考えるときの背景がわかります。
②刑事実務の動画教材
刑事手続は文章だけより、実際の法廷や当事者の動きを映像で見た方が早く理解できる部分があります。noteの記事では、刑事弁護士による「ケージェネch」や、手続の流れを映像で確認できるPSIMコンソーシアムも紹介しています。刑事訴訟法の知識がバラバラに見える方は、一度こうした動画で全体像を見てから教材に戻るのもおすすめです。
【予備試験】刑事実務基礎の概要~学習の仕方とおすすめ教材まとめ(note)
第4 さいごに
以上です。以前は「刑事実務基礎は市販教材が少ないので予備校テキスト中心で」という印象が強かったのですが、現在は『刑事実務基礎の定石 第2版』とハンドブック第6版があるので、かなり学習しやすくなりました。まずどちらか一冊で全体を押さえ、過去問を解き、手続のイメージが弱いところだけ裁判所の無料教材や刑事弁護の副読本で補う。この順番で十分だと思います。


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