第1 はじめに
私が受験時代に使用していた本や読んだ本,現在指導に際して確認するために使用している本をまとめていこうと思います。利用方法なども一言二言で書いていきますので参考にしてください。また,同じ名称の本も多いので,通称なども使用していきます。
なお,すべてを私が購入し通読していたわけではなく,図書館で参照していたものも結構記載しております。
特にこれはというものは別途書評にします。
なお,引用しているものは最新版をに統一している予定です。当時使用していた版とは異なります。
第2 商法の書籍の外観
商法、特に会社法は司法試験以外にも企業の法務部等でも使用する方がいるため本は非常に多いです。実際の運用に関する実務的な本や学術的な本等様々です。試験的には学術的な本も当然ですが、実は実務的な本を読んでイメージをつかむことが重要だと思っています(第三者委員会ドットコムとか)。また分野も広範囲ですのでまとまった本を読むというのは有効だと思います。
第3 書籍紹介
1 基本書・教科書
①『リーガルクエスト会社法(第5版)』有斐閣 伊藤他著
一時期かなり流行した教科書。条文の体系から崩れているが,それがわかりやすいように学習上の配慮がなされている本なので問題ない。コラムや図表も多用されており,非常にわかりやすい。迷ったらこれ!という感じの本。いまだに余裕で使える。
②『会社法(第3版)』弘文堂 高橋他著
いわゆる紅白本といわれているもの。記述の仕方はリーガルクエストよりもドライだけど、内容的にはほぼ同じような感じ。試験的には好みの問題で散らかを使えばOKと思う。
③『会社法(第25版)』弘文堂 神田秀樹著
古くからある教科書。条文の引用が多く、解説が簡潔すぎる。そのため非常に読みにくく使いにくい。しかし、講義レジュメの側面が強いせいで逆にある程度理解してから通読すると、非常に読みやすい本。最後のまとめ、として非常に使える本。昔の呉クラスの本だった。
2 体系書
①『株式会社法(第8版)』有斐閣 江頭憲治著
THE鈍器 という本。内容的には当然OKなのだが、縦書きで今どきは読みにくい。普通に分量も多く到底通読できないように見える。しかし、注釈を飛ばせば案外読めてしまうし結構使えるかも。どちらかといえば、わからない箇所を調べる本。実務でもまず参照するという使い方をするのでなれておいてもよいかも…
会社法好きなら試験でも使えるというイメージ。
②『会社法(第4版)』東京大学出版会 田中亘著
江頭よりも読みやすいし安いので、試験的にはむしろこちら。リークエ等よりも論述が厚いので情報量的なわかりやすさはあると思う。
3 演習書
①『論文演習会社法 上巻(第2版)』『論文演習会社法 下巻(第2版)』勁草書房 上田・松嶋・大久保著
司法試験・予備試験の過去問等の解説と答案例も入っており使える。学者の解説と弁護士の答案例という感じで参考になります。
②『事例研究会社法』日本評論社 小林・北村編著
私は使っていなかったのですが、別の講師にこれだけやりこんだ!みたいに言われて、買ってみたら結構よかった。事例研究はこれと行政法はわかりやすい。あと日本評論社なのでkindle版がちょいちょい半額になるのでそこで買うとよいかなと。
③『会社法事例演習教材(第4版)』有斐閣 前田・洲崎・北村著
最高の演習書?京都大学法科大学院の方はほぼ全員もっている。これの問題意識のどこかから司法試験か予備試験の問題は出ているようですが、一人で読み込むのは厳しい。曰く、江頭先生の本のガイドライン的につかえうとのこと。
そういえば、むかし、某予備校の講義京都大学の秘蔵レジュメを使用している?とかでもめたよね。ティーチャーズマニュアルみたいなのがあるのは間違いなさろうですが、、
④『事例で考える会社法』有斐閣 伊藤他著
法学教室連載ベースの事例問題集。自分が現役のころは司法試験のネタ本の一冊といわれていたが、さすがに現在では古いか(2023年現在)
⑤『司法試験論文過去問演習商法ー実務家の事案分析と答案作成法』法学書院 川﨑直人著
元中央大学法科大学院の実務家講師の本。最新の過去問については以下の講座で実施しているようです。本はこの価格で平成18年~29年まで答案例付きで解説があり非常に良くまとまっているので、お買い得かなと。良ければ下記の講義やレジュメをみてください。
司法試験過去問で学ぶ商法の戦い方※まとめてだとお得だし結構セール対象になります。
4 判例集
・『会社法判例百選(第4版)』有斐閣 神作・藤田・加藤編
会社法の百選。判例集はほかにもあるけど、特にこれ以外を使用するメリットが個人的にはよくわからず結局これを使用している。事案の理解も大事なのと現行の会社法だとどの条文なのか?もわかるしこれで判例学習はじゅうぶんじゃないかなと思う。
※会社法は判例集よりも事案を深く理解するためには、判決の原文を深く読んだりする必要がある。そもそも複雑な事案や商慣習的な理解があるとわかりやすい等、複雑なものが多い。
民事系1位が作った会社法判例百選速習講義5 そのほか(会社法関係)
①『会社訴訟の要件事実』新日本法規 岩谷敏昭著
これは非常に良くまとまっている本です。詳細な書評は以下参照。
https://lighta-ampligh.com/wp-admin/post.php?post=159&action=edit
※そのほか現在のジュリストに類型別会社訴訟の新シリーズがスタートしているので書籍化したらここにくるかも?
6 手形小切手法・商法総則・商行為法
⑴ 手形小切手法
①『最新手形小切手法(5訂版)』有斐閣 中央経済社 田邊光政著
※古いのでURLは省略
一番最初に手形小切手法の本で買ったもの。たしか当時の伊藤塾の呉クラスの教材だったのでよいのかと思いかった。一応読んだけど,正直あまり定着した印象はない。そもそもいまだに仕事で生きた手形を見たことがない。。
⑵ 商法総則・商行為法
①『商法総則・商行為法(第8版)』有斐閣法律学叢書 近藤光男著
これもたしか,当時の呉基本書クラスの本だったはず。この辺りは重点的にやる必要性を感じなかったのであまり対策していなかったなぁ。択一オンリーという印象だったので当時はあまり重視していなかった。試験的にも択一対策で過去問をやりわからない部分は個々に戻る、程度で使用した一冊。
※手形小切手法と商法総則商行為法は、司法試験及び予備試験との関係で言えば捨てる分野といえる。予備試験でも択一用でしかない(たまに出題はあるが、周りの出来が悪いので合否にほぼ影響でない)で教科書を読んで対策する必要性が高いとまでは言えない。予備校の講義などで補足とかでもいいし,条文を読んでわからない部分を教科書で補うくらいでよい。それも択一などの過去問で出題された範囲で足りる。
※場合によってはもう廃刊だが,受験新報の連載記事に手形小切手に関する特集があるのでそれベースに確認すれば事足りると思う。
7 そのほか
会社法は理解に役立つ書籍もあるのですが、いかんせんオーバースペック(実務的な処理に関する書籍)が多いです。
第4 さいごに
以上です!まとめてみると、定評のある司法試験で使用できる書籍は少ないなぁという印象です。今後も何かあれば追加していきたい!
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